2014/03/25
  今の子どもたちにとって、スマートデバイス(略称:スマデバ=スマートフォンやタブレット)は、手を伸ばすと簡単に触れられるとても身近な存在です。子ども向けアプリも数多く提供されている中、スマホやタブレットをどんな風に使えば子ども達のためになって、何をしてはいけないのか不安に思われているパパ・ママもたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
  そんなパパ・ママへのヒントになればと思い、今回から、スマートデバイスを上手に使って子育てをされているパパ・ママへのインタビューを連載でお届けします!
  第1弾は重松大輔さんファミリーです。パパは起業家、ママはベンチャーキャピタリストという重松家。ネットビジネスに深く関わるお二人に、スマデバ使用についての考えや日頃のお子様との触れ合いについてお話を伺いしました。

スマホやタブレットによる体験をきっかけに、子ども達の興味関心が広がっているようです。

--ご家庭では、どのようなスマートデバイスを所有されていますか? 大輔さん:夫婦それぞれでスマートフォンを所有しているほか、主に自宅で使用する端末としてタブレット1台と古いスマートフォン1台を持っています。 --普段はスマートデバイスをどのようなことに使っていますか? 大輔さん:メール、電話、LINEやGoogleでの情報検索はもちろん、TwitterやFacebookなどの主要SNSもスマホで使用することが多いです。 ほかには新聞を読んだり、電話代わりにFaceTimeを使ったり、タブレットでHuluを観ることもあります。仕事でもプライベートでも、スマートデバイスをフル活用しています。 --お子様もスマホを使っていますか? 大輔さん:はい、使っています。現在4歳の娘は、2歳くらいからスマホで遊び始めました。 最初はタングラム(幾何学図形パズル)のアプリや箱の数をあてる知育アプリなどでよく遊んでいましたが、あっという間に操作を覚えて、パズルのスピードもどんどん早くなっていく姿を見て、とても驚いたのを覚えています。 最近はスマホやタブレットでYouTubeを観るのが好きなようです。同じような年齢の女の子が、おもちゃやお菓子のレビューをする動画が特にお気に入りで、よく観ています。 我が家では割りと積極的に色々なアプリを試しているのですが、ゲームだったら何でも喜ぶかというと決してそうではなく、よく遊ぶものとすぐに飽きてしまうものとはっきり分かれますね。 やはりきちんと子どものことを考えて作られているアプリは、子どもにとって魅力が大きいようです。 真希子さん:娘はYouTubeで、粘土細工の作り方やお菓子の作り方など、ノウハウ系の動画を観るのも好きですね。動画を観ると、自分でもやってみたいと思うようで、最近はよく粘土遊びをするようになりましたし、「ママ、お菓子を作ろう」と言われることも増えました。 --動画をきっかけに色々なことに興味をもち始めるというのは、とても良いことですね。 大輔さん:そうですね。スマホやタブレットによる体験をきっかけに、親子のコミュニケーションが増えたり、興味関心が広がって、やってみたいことが増えたりしていくのは素晴らしいことだと思います。 もう少し大きくなったら「自分の動画チャンネルを作ってみたい」と言い出すかもしれませんね。そうなると、私も娘のお手伝いのために動画編集スキルを身につけないとダメかな、と思ったりしています(笑)。子どもに引っ張られて親の経験の幅も広がりそうです。 --それはいいですね(笑)。1歳の息子さんも、スマホを使うことがありますか? 大輔さん:息子はまだ小さいので、積極的には触らせていません。お姉ちゃんの真似をして使いたい時に、少し遊ばせるという感じでしょうか。遊ぶ時は親がそばにいて、一緒に触るようにしています。

思春期に自制心をもってスマホやタブレットを使えるようになるためにも、小さい頃からルールやマナーを守る気持ちを育てていくことが大切だと思います。

--お子様たちは、普段、どのような時間帯、またどのような状況でスマホを使うことが多いのでしょうか? 大輔さん:朝食後や保育園に登園するまでの時間、また夕飯後やお風呂の後などに遊んでいます。 1回の時間は長くても30分くらいでしょうか。あまり長い時間遊ばせないように気をつけています。スマホを使って遊ぶのは家にいる時だけですね。 外出している時にスマホで遊ばせることはありません。家族で出かけている時は、そのお出かけ自身が子供達にとって楽しい時間ですし、スマホ以外にも面白い遊びが沢山あるので、外でスマホを使いたがるということは一切ありません。なければないで全く問題ありませんね。 --お子様たちがスマホやタブレットを使用することについては、どのようにお考えですか? 大輔さん:これからの未来を生きていく上でも、小さいうちからスマホやタブレットに慣れ親しんでおくという経験は必要なことだと思っています。 例えばスマホの小さな画面で長時間動画を見続けるというのは、多分、脳にも目にもあまり良くないですよね。自分で指を動かして字や絵を書いたり、パズルを解いたりするなど、頭や手先を使って主体的に遊べるといいな、と思います。 以前韓国に行った時に、子ども達がどこででも自分でWi-Fiに接続してスマホを使っている姿を目にしてとても驚きました。そういうのを見ると、日本はまだまだこれからなのかな、と思います。 真希子さん:私も、子どもがスマホやタブレットの使うことについては、とてもポジティブにとらえています。 興味のあることについて、その場で情報検索したり、より深く追求できたりするのは、インターネットの大きな魅力だと思います。 これまでは、キーボードを使いこなせないとインターネットを使うことができませんでしたが、直感的に操作できるスマホやタブレットが登場することによって、小さい子どもでもインターネットの力を活用できるようになっています。 大きな可能性を感じますね。ただ、周りのママ達と話をしていると、スマホやタブレットを子どもに使わせるのに抵抗を感じている人も少なくありません。 嫌悪感があるというよりは、スマホに関して何がOKで何がダメなのかということをママ自身が把握していないために、不安感を感じている方が多いような印象です。 ママ達が安心してスマホやタブレットを使える情報にもっと手軽に触れられるようになれば、少しずつ抵抗感が和らいでいくのかもしれないですね。 --ちなみに、お子様達のスマートデバイス使用に関して「失敗した!」と思われたような経験はありますか? 大輔さん:ある日娘がパスワードを見破って、勝手にスマホで遊び始めたので、「これはいけない!」と思ってパスワードを変更しました。 すると、知らない間に娘が誤ったパスワードを何度も入力してしまい、ロックがかかって結局端末が使えなくなってしまったということがありました。 使う前にはパパかママに声をかけるようにルールを決めておくべきだったな、と思っています。 --それは大変でしたね・・・。やはりルールを決めておくということは大事ですね。 大輔さん:今の子ども達にとって、スマートデバイスはとても身近な存在ですよね。だからこそ、小さいうちからルールやマナーを教えていかなくてはいけないと思いますし、「ルールを守る気持ち」をしっかりと育てていくことが必要ではないかと思います。 中学・高校生になると、親の目が届きづらくなる面も増えていくかと思いますが、小さい頃からルールやマナーを身につけておけば、大きくなっても自制心をもってスマホやタブレットを使えるようになると思いますし、トラブルから自分の身を守ることもできるのではないかと思います。 真希子さん:私も、ネット犯罪やネットいじめに巻き込まれないように、小さい頃からスマホやタブレットの使い方について親子で一緒に考えていくことはとても大切なことだと思います。 我が家の子ども達にとっては少し先の話ではありますが、10代は興味だけで突っ走ってしまいがちな年代ですよね。 スマホやインターネットの使用についての良いこと、悪いことを家庭で話し合うことはもちろん、学校などでも是非リテラシー教育をしてほしいな、と思います。

スマホにはスマホ、紙には紙の良さがあるので、両方を上手く融合して豊かな体験ができれば素晴らしいなと思います。

--重松家ならではの面白いスマートデバイス活用方法は何かありますか? 大輔さん:我が家では、私の両親と妻の両親も含めてFacebookでグループを作って、写真や動画のやりとりをしています。 旅行先や日常生活での子ども達の何気ない姿を写真や動画に撮って投稿しているのですが、おじいちゃん、おばあちゃんは、リアルタイムで孫達の様子を知ることができると、とても喜んでくれています。 普段なかなか会えなくても、お互いの存在をすごく身近に感じられるので、非常に良いコミュニケーションツールになっているのではないかと思います。 子ども達の成長を記録するという意味でもいいですね。今はスマホさえあれば、写真も動画も撮ることができるので便利ですよね。写真や動画を撮る頻度も、とても増えたように思います。 --重松家では色々なアプリをお使いになっているということですが、パパ・ママとして、お子様にはどんなアプリを使わせたいと思いますか? 大輔さん:ただ遊ぶだけではなく、学びのあるアプリがいいですね。スマホやタブレットは、広い世界と繋がることのできるツールだと思うので、普段の生活ではなかなか目にすることができないものをたくさん見せて、子ども達の世界を広げてあげたいな、と思います。世界の車図鑑や世界の飛行機図鑑などがあるといいですね。 親が遊ばせてみたいものに限って、子どもは興味をもってくれなかったりもするのですが、子どもの興味関心と、親のニーズを上手くつなぎあわせた魅力的なアプリが沢山登場してくれると嬉しいです。 真希子さん:以前、アニメのアイドルが算数を教えてくれるアプリを使ったことがあるのですが、同じような感じで子どもが楽しみながら英語を学べるようなアプリがあったらいいな、と思います。 娘には英語をやらせたいな、と思っているのですが、なかなかやる気になれないようで・・・。 最近はタブレット向けの教材も色々と登場していますが、ただ紙を電子化するというのではなく、スマホやタブレットならではの良さをしっかりと引き出して、子どもが操作に迷わず、集中して楽しめるような教材が沢山出てくるといいな、と思っています。 ちゃんと考えて作られているものであれば、積極的に使用したいなと思います。 --スマホやタブレットならではの良さは、どんなところにあるのでしょうか? 真希子さん:図鑑を例に挙げると、スマホやタブレット向けの図鑑アプリであれば写真がとても綺麗だったり、より詳しく見たい部分を拡大して見たり、動画を使って動いている姿を見たりすることができますよね。 また写真が何百枚と入っていても、簡単に持ち歩くことができます。これは紙の図鑑にはない魅力ですよね。スマホやタブレットを使えば、より楽しく、効率的に学びを得られる部分もあるのではないかと思います。 だからといって紙が良くないかというと決してそうではなく、紙には紙の良さが沢山あります。両方を上手く融合して豊かな体験ができれば、素晴らしいことだなと思います。 --最後に、お二人が子育てをする上で大切にされていることを教えて下さい。 大輔さん:小さいうちから色々な経験をさせて、色々なものを見せてあげたいな、と思っています。 子ども達には、どんなことにもポジティブに向き合える人になってほしいですね。そのためにも、まずは自分自身が常にポジティブでいないといけないな、と思っています。実は「娘にはこんな女性に育って欲しい」、「息子にはこんな男性に育って欲しい」という思いがありまして、その思いを忘れずに子育てに向き合えるように、こっそりメモに書いてしまってあるんですよね。 真希子さん:それは、初めて知りました(笑)。もう少し大きくなったら、子ども達にも目標をもって日々過ごして欲しいので、そういうものは秘密にしないで、是非壁に貼ってほしいですね。 私はフルタイムで働いていて、毎日本当に忙しいのですが、できるだけ感情的に怒らないようにしたいなと思っています。なかなか難しいですが・・・(笑)。 子ども達の寝顔を見ている時の幸せな気持ちや、子ども達の素直な視点からの気づきなど、母親になって初めて得たものが沢山あって、日々子ども達から力をもらっています。子どもたちがいつも笑顔でいられるように、自分も頑張らなくては、と思いますね。
重松大輔さん 1976年生まれ。大手通信会社、ネット系ベンチャー企業を経て、現在はIT企業経営。4歳の女の子と1歳の男の子のパパ。
http://spacemarket.co.jp/
重松真希子さん 1977年生まれ。ネット業界に強みをもつベンチャーキャピタルにて、ママベンチャーキャピタリストとして活躍中。
http://www.cyberagentventures.com/
編集後記
ご家族全員で取材にご協力下さった重松さんファミリー。とても素敵なご家族でした!
ご夫婦ともにネットビジネスの最前線でご活躍されているだけあって、お子様のタブレット使用については非常に積極的。またそれだけではなく、色々な側面から冷静に判断されていたのが印象的でした。
おじいちゃん、おばあちゃんとLINEやFacebookで写真や動画を共有されているというのは、とても良いアイディアで、是非真似してみたいなと思いました。
取材&文:大澤 香織 フリーランスライター。7歳男子+4歳男子の母。これまで塾や幼児教室の講師を経験するなど、「教育」に強い興味あり。絵本大好き&子どもと歌を歌うのが大好きで、家族そろってスマートエデュケーションの知育アプリのファン。

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